TV局ディレクター時代は台本を書くのも仕事の1つ、中にはアナウンサーが一言一句違わず台本通りに喋る番組もあり、言葉に向き合う日々でした。
セミナー講師を本格的に始めた頃、色々なセミナーを受講して伝え方や話し方を学びました。
あるセミナーでは『どこへ行っても全く同じ内容ができるように』と教えていただきました。
ところが、私はどうも”全く同じ”を繰り返すことが苦手なようで、何度やってもうまくいかないのです。特に暗記して発表する類の課題は思うような成果が出ませんでした。そこからは、自分の経験をいかしてみようと、セミナーを1つの番組だと仮定しビジュアルから構成して台本をつくる流れに変えました。
この方法が合っていたのか、「話に引き込まれます」「テレビを見ているようであっという間でした」とセミナーを評価していただくようになりました。
テーマは同じでも、登壇させていただく場の雰囲気と参加されている方の層に合わせて少しずつアレンジを加えています。可能な限り現地へは2時間前に到着して、最寄駅や周辺を歩きます。その後、カフェに入り珈琲を飲みながら最終のネタ調整をしてから会場入り。
時に、セミナーの資料を1ヶ月前に提出し内容変更ができないケースも。1ヶ月の間に新ネタが増えていたり、参加者の属性が想像と違うこともあるので、当日会場に入ってからでも、スタートした後からでも、時間配分を変更しながら微調整をしています。
結果がどう違うのか?は分かりませんが、これも、番組制作をしていた癖なのだろうと思います。
ある時、早稲田大学教授の講義を受講しました。
教授は「僕は、その時の会場の雰囲気や流れで、何をやるかを決めるので、配布資料を数パターン準備してるんです。主催者の方は大変だと思うのですが参加されている方が何を求めているのか把握して、一番良い内容にしたいんです。」と仰いました。
数パターン準備は、選択肢にありませんでした! 恐るべしです。