「最近の若手は主体性がない」「指示待ちが多い」こうした声は、多くの企業で聞かれます。

実は、私自身も新入社員の頃は、いわゆる「指示待ち」のタイプでした。自分で考えるよりも、「正解を先に知りたい」「具体的に指示してほしい」そんな気持ちが強くありました。間違えれば二度手間になりますし、失敗することで評価が下がるのも怖かったのです。絶対失敗したくない!という気持ちが強いお年頃でした。

入社1年目、イベント収録の場に立ち会うことになった私は、先輩アナウンサーの台本を見て、重要そうな箇所に引かれた赤線をそのまま真似しました。すると、「それは“私にとって”大事なポイント。あなたはあなたの立場で、何が大事かを考えないと意味がない」かなり厳しく指摘されました。

正直なところ、当時は「何が大事かなんて私にはよく分からない、先輩を真似しておけば問題ない」と感じていました。ですが、こっぴどく注意を受けたこの経験が “正解を探す姿勢”から“自分で考える姿勢”への転換点になりました。

この体験は、経済産業省が提唱している「社会人基礎力」とも重なります。(―人生100年時代の社会人基礎力―  )

社会人基礎力とは、
・前に踏み出す力
・考え抜く力
・チームで働く力
から構成される、仕事の土台となる力です。そして「人生100年時代」においては、 振り返り(リフレクション)を通じて、学び続けることが重要と再定義されています。つまり重要なのは、“土台”の問題であることです。
専門スキル(営業力や技術)は、いわばアプリ。社会人基礎力は、それを動かすOSのようなものと言われています。OSが整っていなければ、どれだけスキルを教えても機能しませんよね。

なぜ今「若者が育たない」と感じるのでしょうか。かつては、「見て覚える」「言われたことを正確にやる」でも成長できました。しかし今は、
・正解が一つではない
・自ら考えることが前提
・キャリアは自分で築く時代

力を育てるための“考える機会”が必要です。

そしてもう一つ、人は環境によって大きく変わるということです。
・意見を求められるか
・失敗しても大丈夫と思えるか
・振り返る機会があるか
こうした条件が整うことで、 これまで発揮されていなかった力が表に出てくるケースは少なくありません。

「育ててもすぐ辞めてしまう」そう感じている企業様も多いのではないでしょうか。私自身、社員育成を担当していた経験から、それはもっともな感覚であると感じています。近年は、 “育てた人が辞める”のではなく、“力が発揮される前に離れてしまう”ケースも増えています。

人材確保が難しい今、改めて、「育成」の重要さが問われています。その中で私自身は、育成とは成長できる土台を育てることなのだろうと感じています。